働く意味をもう一度考えよう
私が担当したケースで、1年経たずに転職を希望しているOさんがいました。新卒で入社した企業は、お給料がいいから、という理由で決めたのですが、働き始めると営業ノルマが厳しく、人間関係も殺伐としていて馴染めず、転職するなら早い方がいい、と考えたそうです。彼に理想的な職場について聞くと「有名企業で、お給料が良く、人間関係が良好でノルマがない」でした。彼の気持ちはとてもよく理解できるのですが、あまりにも現実感のない希望です。
Oさん「次は絶対、人間関係がいいところにいきたいんです。週末にバーベキューをしたり、夜に飲みにいったりできる仲のいい職場がいいんです」
私「それは友達とできますよ。わざわざ職場でしなくてもいいじゃないですか」
Oさん「じゃあ、とにかく、ノルマがないところがいいです」
私「残念ながらノルマがない職種というのは殆どありません。ノルマ、という言葉がなくても、目標は必ずあります。ノルマがないのも問題なんですよ。目標がないと、どこを目指していいかわからないですし、査定についても明確な判定がされないので、不満が生じやすいんです。過剰なノルマはともかく、適正な目標を設定できる企業はいい企業だと思いますよ」
Oさん「有名企業がいいです、名前が通ってたら仕事やりやすいでしょ」
私「有名企業でも飛び込み営業がある会社もありますよ。飛び込みであれば、ネームバリューがあっても、門前払いされるのは同じです」
Oさん「じゃあ、お給料がいいところにします」
私「前の会社は、お給料がよかったんですよね」
私たちの会話は堂々巡りでした。Oさんの希望はすべて、前職へ対する嫌悪感だったのです。おそらくそのまま転職をしても、同じような不満で辞めてしまったのではないかと思います。ゆっくり、一から整理して話すうち、彼が最初はSEを目指していたことがわかりました。コンピュータが好きで、自分では簡単なプログラム知識しかないものの、それを仕事にできたらいいなと思っていたそうです。ただ、SEは職種として過酷であるということを聞き、就職試験を受ける前に諦めてしまったということでした。
労働条件が良いSEポジションの求人を探すことは、私たちエージェントにでも可能です。でも、彼がやりがいを感じる仕事は、彼にしか探すことができません。退職は、思っているよりもエネルギーを使います。精神的にもトラウマになり、過去に縛られてしまう人が少なくありません。転職は、より希望に近い生活を手に入れるためにするものです。過去に対する負の感情は忘れて、輝かしい未来を思い描きましょう。
