会社を見極めるより、自分を見極めよう
私は、二つの企業で勤務経験があります。どちらも、入社前に注意深く検討し、情報を集め、これ以上の企業はないと思って入社しました。ところが入社してみると、想像もしていなかった問題が山のようにありました。幸い、仕事や仲間には恵まれ、とても良い経験を得ることができましたが、これらは「運」でしかなかったように思います。
これは極論かもしれませんが、会社を見極めることは不可能です。会社そのものの経営理念や状況がどれほどよくても、配属された部署によって、左右されることも多いのが現実です。大切なことは、自分自身をよく理解することなのではないでしょうか。自分が何をやりたいか、何に向いているか、自分が望む将来とはどういうものか、をしっかり考えてみてください。会社を見極める、というのは、「会社の業界内でのランク、給与体系、企業理念」などを理解することだけではありません。自分がやりたいことを実現できるか、自分の将来へのステップがこの企業の中に存在するか、ということをシミュレーションしてみましょう。
自己分析については、新卒採用時に経験されていると思います。ですが、机上の空論での分析と、実際に職場を経験したからこそできる分析は、まるで違います。こうした自己分析は、転職時には必ず行うよう、私はアドバイスしています。例えば、学生の時は「営業はいやだ」と思っていた人が、社会人になって「人と接する職種にやりがいを感じる」と考えるのは、珍しいことではありません。しかし、この時点で「営業職に転職しよう」「業種は別になんでもいい」「給料と勤務地を中心に選ぼう」と展開してしまうと、最初の社会人経験で何も学ばなかったのと同じです。
まず、人と接する職種というのは、営業だけではありません。専門職で、営業同行する職種は多くあります。また、業種についてこだわらないのも、あまり良いことではありません。営業といっても、食品の営業マンと広告の営業マンでは、全く別のスキルが必要になります。
「自分が何をやりたいか」、つまり職種について、よく考えてみてください。「何に向いているか」は、ある業界または企業について、具体的な仕事を思い描いてみましょう。もし出版社の営業職が目に留まっていたら、こう考えてみてください。その営業先はどこになるでしょうか? 書店ですか? それとも広告を出してくれる企業でしょうか? 書店への営業は、どんなふうに行われるでしょうか? 企業に対しては、ただお願いするだけで広告を出してもらえるのでしょうか? キャンペーンやフェアを行いますか? それには、企画を立てる必要がありますね。企画書を書いたことはありますか? 企画は、専門のプランナーが立てるのでしょうか? ではあなたは何もせず、見ているだけで済むのでしょうか? むしろ自分で企画してみたいと思いますか? どんな企画がおもしろいでしょう? こんなふうに、どこまでも想像してみてください。そして同じように、5年後10年後の自分がどんな仕事をしているか、考えてみましょう。
